熱が出た時にクーリング(氷枕)は効果的?真実は?
結論から言いましょう
クーリングしても熱は下がりません
ですが、意味がないわけではない。
どうも、amotasuです!
今回は熱が出た時のクーリングの効果についてお話しさせて頂きます。
目次
熱はどうして出るか?
例えば風邪のウィルスが体に侵入する
↓
体は敵が体内に侵入したので、免疫系という防除システムが働く
↓
情報を受けた脳は敵を倒そうとし、熱を出す
これが、体が身を守るために働く〝生体防御機能〟です
発熱のメカニズム(少し詳しく)
免疫活性食細胞(白血球、マクロファージ)がウィルス(異物)を取り込む
↓
サイトカインが作られる(IL-1、腫瘍壊死因子、インターフェロン、マクロファージ炎症タンパクなど内因性発熱物質とも呼ばれている)
↓
サイトカインは血液に乗って脳へ向かうが血液脳関門(ゲート)があり通れない
↓
サイトカインからメディエーター(情報伝達物質)であるプロスタグランジンE2(PGE2)を産生
↓
PGE2は情報を乗せて血液脳関門を通り、視床下部へ向かう
↓
視床下部にある体温中枢が発熱を司令
↓
血管収縮や汗腺を閉じ、熱放散を抑える活動が開始。また、筋肉がふるえさせて(シバリング)熱産生を促す。これらの活動で体温が上がる
発熱は何度から?
これにはその人の平熱が何度かということも重要となっています。
例えば、
平熱が36.5℃と35.8℃の人が37℃の熱がみられたとしたら、どちらの方が熱があがり体に影響がでやすいか?
明らかに平熱が35.8℃の人ですよね?
このように、発熱はその人の平熱から考えなくてはいけません。
ただ、感染症法では
37.5℃以上を発熱、38.0℃以上を高熱と定義しています。
解熱剤はいつ使うの?
説明した通り、発熱は外敵から身を守る生体防御機能です。
せっかく体が熱をだして守ろうとしているのに、解熱剤を使うとどうでしょう?
熱が下がって体を守ることができなくなりますよね。
発熱が軽度で、ほとんど苦痛の訴えがない場合は解熱剤は使用しない方は良いと考えられています。
病院では38℃以上で解熱剤を使用するように指示を出すのがほとんどだと思います。
なぜクーリングに効果がないのか?
クーリングは氷枕(最近ではアイスノンのようなものが主流だと思います)を使用したり、看護では3点クーリングといって、頭部・鼠径(足の付け根)・脇(わき)に氷枕を置いて熱を下げようとするものです。
ちなみに3点クーリングの目的は、太い血管の通ってる場所に氷枕をおいて血液を冷やすことで、体全体を冷やそうとする行為。
なので、正確には頭部ではなく頸部(首)です(頸動脈など太い血管があります)。
ですが、そんな所に氷枕を置いて体が冷えるでしょうか?
血液の流れる速度は毎秒1m、つまりは3.6km/h
人が歩く速度とだいたい一緒です。
氷枕の置いてある頸部を血液が通り抜ける
それは、
ガンガンに冷房の効いた部屋を、人が通り抜けるに等しいと考えます
冷えませんよね?
しかも、脇と足の付け根なんて人は動くのにずっと固定なんてできないし、体型は?肥満の人は血管に届かないかもしれない。
以上のことからクーリングに解熱効果はないと考えられます。
なかでも3点クーリングなんてただ皮膚が冷やされて、患者が苦痛を感じるだけで効果は皆無です。
それでも「クーリングにて解熱される」と看護師の記録をよく見かけます、、、
おそらく治療の効果(抗生物質)や日内変動などの効果によるものと思いますが。
もし体を冷やして体温を下げるなら、低体温療法というやり方までしないと冷えません
それも専用の医療器具や透析などを必要とします。
クーリングに意味はある!
さっきと言っていることが違うじゃないか!と言われそうですが、
確かに体温を下げる効果はありません。
しかし、〝安楽〟つまり苦痛を和らげ楽にするという意味があるのです!
誰しも38℃くらいの発熱を経験したことがあるでしょう?
その時例えば「冷えピタ」や「アイスノン」を使用したらどうでしょう?
熱は下がってないのに、気持ちよくてしんどさがマシになりますよね。
そう言った意味で効果はあるのです。
だから、
「発熱による倦怠感を認めるため。安楽の目的でクーリング施行」という記録を看護師が書いていると分かってるなーとなるかもしれません。
最後に
素人とプロの違いはなにか?
それは理論と根拠に基づいてケア(サービス)を行うこと。
素人は熱が少し上がれば、解熱剤を使用するでしょう。
プロは熱が少し上がれば、生体防御機能を理解し、何によって発熱しているのかを考え、然るべきタイミングで解熱剤使用の有無を判断するでしょう。
しかし、熱を出している子供に、母親が夜通し側で冷やしたタオルを交換しつづける。
それに意味がないとは思いません。それこそが看護の心ではないかと思っています。
看護師は〝知識〟と〝心〟共に磨き続けることが大切です。