amotasuの世界

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看護師の体験記②~夜勤明けで起こった病院内緊急コール。まさか、この病棟で!?~

おはこんばんにちはamotasuです。

 

病院ではもちろん病気で入院が必要な方が多く入院されています。

そうすると、どうしても急な状態悪化に伴い、「急変」は起こってしまうのです。

 

これは、先日夜勤明けで起こったお話です。

 

その日は結構穏やかな夜勤で後輩が夜勤フリー、僕ともう一人の後輩が受け持ち業務をしてました。

 

病院の夜勤は、一般病棟でだいたい3人体勢で、普段はその中で一番先輩の看護師が夜勤フリーと夜間責任者を兼ねるんですが、

後輩が夜勤フリーを経験していくために、今回は僕が受け持ち業務をしていました。

 

そして、

朝6時過ぎ、患者の部屋周りをしている時にそれは起こりました。

 

院内放送「スタットコールです、、、」

 

スタットコールとは、

《statは、急を要するの意。「スタッドコール」とも》病院内での緊急召集。緊急事態発生時に、担当部署に関係なく手の空いている医師や看護師を呼び出すために用いる。→コードブルー

コトバンクより

 

つまり、「院内のどこかで患者さんが急変したため、急いで手の空いている病院スタッフは集まってください!」という事です。

 

そこにはもちろん、呼吸停止や心肺停止も含まれます。

 

amotasu「こんな時間にいったいどこで、、、」

 

院内放送「スタットコールです、、、MFICUでスタットコールです」

 

amotasu「えっ!?」

 

MFICUとは、

エム‐エフ‐アイ‐シー‐ユー【MFICU】[Maternal Fetal Intensive Care Unit]

《Maternal Fetal Intensive Care Unit》重い妊娠中毒症前置胎盤、合併症妊娠、切迫早産や胎児異常など、ハイリスク出産の危険度が高い母体・胎児に対応するための設備と医療スタッフを備えた集中治療室の略称。母体胎児集中治療室。母体胎児集中治療管理室。→周産期母子医療センター


出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

 

amotasu「まさか、そんな所で」

MFICUでスタットコールが起こるという事は、まさか胎児や母体に何か起こったのか

と戦慄が走りました。

 

後輩フリー看護師「amotasuさん!行ってきてください!」

 

通常では受け持ちをしていない夜勤フリー看護師が応援に向かうのですが、

僕は集中治療室での勤務経験もあるため、病棟はもちろん院内の急変の経験も少なくはありませんでしたし、

院内RRT委員会に所属していたので、後輩からの要請を受けました。

 

RRTとは、

RRT(Rapit Response Team)は、欧米を先駆けに日本国内でも導入が進んでいる「急変に対応する初動チーム」のことです。
医学的な危機状態に対して、エキスパートの調整とタイムリーな介入を行う専門的なチームで、院内を横断的に活動し、急変が発生したとき、あるいはスタッフが異変を感じたときに、スタッフからの要請で駆けつけます。

ナース専科より

 

後輩フリー看護師から要請を受けたと同時に、

僕はMFICUへ走りました。

 

階段を勢いよく下っていると、夜勤当直されていた医師と合流し、一緒にMFICUへ向かいました。

 

MFICUに到着すると、分娩より赤ちゃんが運ばれる所でした。

amotasu『赤ちゃんは大丈夫やったんや、そうなると母体か』

 

正直な所、今まで色々な急変を経験してきたので、急変対応には自信がありますし、

今では特別あわてたりする事はありません。

しかし、母性や小児は別です。

全然とは言いませんが、専門外で、そこまで経験数もないため、少し緊張していました。

 

分娩室に入ると、

出産されたばかりの母親がまだ分娩台にいる状態でした。

 

どうやら、胎児娩出後に出血量が多いためショック状態であり、胎盤の緊急娩出が必要な状態であったようです。

 

ですが、緊急で心停止や気管内挿管が必要な場面ではありませんでしたし、

また、産科の当直医が二名いたため、他の夜勤当直医は一旦戻りました。

 

僕は一緒に駆け付けた救急外来スタッフと共に現場に残り、

産科医の支持を仰ぎました。

 

産科医「誰かルート取ってください!」

産科医「amotasuさんポンピングしてもらっていいですか!?」

 

救急看護師がルートキープを行い、僕がポンピングを行いました。

ポンピングとは、

簡単に言えば、体の中の水分が足りていないけど、自然に点滴を落とすだけでは間に合わないため、注射器で点滴を急速に体の中に送り込み方法です。

 

ポンピングの効果もあってか血圧やバイタルサインも持ち直しました。

amotasu『何事もなくてよかったぁ』と心の中で安堵して、

後は自然に胎盤娩出法を試みるようだったので、救急スタッフと退出しようとした時。

 

産科医「amotasuさん、今から処置するのでその間だけいてください!」

 

amotasu「えっ、あっ、はい!」

正直この時点でなんの処置をするか分かりませんでしたし、残ると言ったもののどうしようとなりました。

 

そして自然に胎盤娩出を始めると、

母親「痛いーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

びっくりしました。

と同時にどうしたらいいか分からず、

母親の手を握り「大丈夫、大丈夫ですよ!」と繰り返すしか出来ませんでした。

学生の時にも母性の実習の時がありましたが、男子学生では出産に立ち会う事もなかったためにものすごく動揺しました。

 

そして何度か繰り返した後に、自然に娩出が出来ず、胎盤用手剥離を行う事になりました。

 

胎盤用手剥離とは、

何らかの原因によって、分娩第3期が長時間遅延した場合、手で胎盤を取り出そうとする試みる胎盤娩出法を胎盤用手剥離といいます。

 

そして、

産科医「おかぁさん、痛み止め使ったけど痛みは消えないからね、いくよ!」

母親「痛い痛いーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

冷静を装いましたが、内心めっちゃドキドキして、

つめが食い込むくらいに握ってくる手を握り返す事しか出来ませんでした。

 

新人が急変に緊張する気持ちが分かりました(笑)

 

そしてようやく胎盤が出てきて、母親も穏やかな表情になりました。

産科医「お母さん、もう胎盤でたよ!見る!?」

amotasu『いやいや、こんな後に見ないでしょ』と思ってると。

母親「はい!」

amotasu「えっ!?」

思わず声に出ました。

、、、お母さんって強いですよね(笑)

 

そして、全ての処置を終わった後ので帰ろうとした時

母親「ありがとうございました」

 

そう言われて、とてもうれしかったのを覚えています。

 

今回は何事もなく、急変対応は終わりました。

 

しかし、これからも急変は起こるでしょう。病院でも、それ以外でも。

その時、少しでも命を守れるように、今よりもっと高みを目指そう。