amotasuの世界

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現場で遭遇した急変対応①~上腸間膜動脈動脈閉塞による腸管壊死~

どうもamotasuです。

 

病院で働いていると急変に遭遇する事も少なくありません。

 

良く医療ドラマで心臓マッサージや電気ショックをする場面が一番イメージできるかもしれませんね。

 

今回は僕が実際の現場で遭遇した急変の内容を書いていこうかと思います。

 

 

元々はVF(心房細動)による心肺停止蘇生後の患者でした。

心房細動とは、心臓のけいれんのような不整脈で、全身に血液を送ることができなくなるので、心臓マッサージが必要になります。

 

現在は普通に動いたりすることは可能だったんですが、患者は精神疾患と心肺停止の後遺症からのせん妄がみられました。

ja.wikipedia.org

 

そして、精神科の医師に診ていただき、精神薬の内服が開始されたんです。

 

精神薬は調節している所で、薬剤の影響からか、意識はもうろうとしていることが多く、食事もろくに食べれないことも多々ありました。

 

そして、それは僕の夜勤の時。

 

僕は夜間責任者として働いており、他2名は後輩看護師の3人で夜勤をしていました。

 

朝までは何事もなく平和な夜勤だったんです。

 

その患者も、多少のせん妄はみられましたが、深夜0時には入眠されました。

 

あれは6時過ぎだったと思います。

 

A後輩Ns「amotasuさん、患者さんが嘔吐したんですけど便臭がするんです」と。

 

amotasu「ちょっと診てみようか?」

まず何の前触れもなく嘔吐した時点で、僕はイレウスを疑いました。データベースの既往には記載がなかったですが、腹部に手術痕があったのも見ていたので可能性はある。

 

amotasu「んー便臭は良くわからんな。腹音はまだ聞いてない?ちょっと聞くから、バイタル測ってて」

患者さんの意識レベルに変わりありませんし、体動もありました。

聴診器で腹音を確認しましたが、いっさい腹音は聴取できず、イレウスは確定かなと思ったのと同時に、患者さんお呼吸がやや早い事が気になりました。

そして、次の後輩お言葉で僕の疑いは確信に変わりました。

 

A後輩Ns「amotasuさん、血圧が測定できません」

 

後輩からの言葉を聞いて、橈骨動脈を触知しましたが弱く、末梢は冷感が著明に見られました。

 

プレショックの状態でした。

 

そして僕は、イレウスないし動脈閉塞による腸の壊死、代謝性アシドーシスを考えました。

 

amotasu「すぐに当直に連絡して、俺は末梢ルートキープするから」

 

当直医師が到着して診察。

CT検査の指示が出ましたが、先に医師に血液ガス採取を依頼し、その後CTへ向かいました。

 

検査の結果、上腸間膜動脈の血栓閉塞のために腸の壊死の疑いが強いとの事でした。

 

その後点滴の全開投与、ノルアドリナリン(昇圧剤)の投与により血圧は安定していましたが、患者は緊急手術となりました。

 

今回の患者は元々心電図にてAf(心房細動)が認めていました。

 

ですが、意識レベルの低下のため、抗凝固薬を内服できていないことがあったんです。

 

心房細動といえば、よくみる合併症は心不全と脳梗塞ですが、やはり血栓ができやすいため、脳梗塞だけではなくどの血管でも閉塞してもおかしくはない。

 

脳梗塞以外の血管閉塞も考慮して観察する事が大切であることを再確認させられた症例でした。